相続発生後の口座凍結について
相続発生後の口座凍結について
相続が発生すると「すぐに故人の銀行口座が凍結されてお金が引き出せなくなる」と思っている方が少なくありません。
しかし実際には、銀行は預金者の死亡を自動的に把握することはできません。
つまり、相続人などから連絡がなければ、銀行は預金者が亡くなったことを知らないまま口座はそのまま残っているのです。したがって「亡くなったら即座に口座が使えなくなる」というのは誤解です。
また、「亡くなってから何日以内に銀行へ連絡しなければならない」というルールも存在しません。
したがって、通帳の記帳や公共料金の引き落とし口座の変更など、必要な手続きを済ませてから銀行に連絡する方が安心です。
また還付金の振り込みや年金の受け取りもある場合があります。
あわてて連絡をしてしまうと、必要な資金の動かし方に支障が出ることもあります。
注意点
注意点としては相続人が不用意に口座から多額の引き出しをしようとしたり、残高証明書を請求するなどの行為をすると、その時点で銀行に死亡が知られて口座が凍結されるケースもあります。
凍結後は正規の相続手続きを経ないと解除できませんが、きちんと手順を踏めば引き出すことは可能です。
ただし、他の相続人に知らせておかないと後々トラブルになるのでその点も注意してください。
遺産分割前の払戻し制度
遺産分割前の払戻し制度を利用するのも一つの方法です。遺産分割前の払戻し制度とは、通常凍結された口座から預金を引き出すには相続人全員の同意や印鑑証明などが必要で、完了までに2~3週間以上かかることも珍しくありません。遺産分割協議が長引けば、さらに引き出しが遅れてしまいます。
しかしこの制度を利用すると、相続人1人でも一定額を先に引き出すことができます。
具体的には「死亡時の預金残高 × 3分の1 × その相続人の法定相続分」が上限で、同一金融機関につき150万円までとされています。葬儀費用など急ぎで現金が必要な場合に活用できる便利な仕組みです。
遺産分割前の払戻し制度の注意点
他の相続人の同意を得ずにお金を動かすことになるため、不信感を招く恐れがあります。引き出したお金は葬儀代など誰もが納得できる用途に限り、必ず領収書など証拠を残しておきましょう。透明性を持って対応すれば、後々のトラブルを避けられます。
相続における口座凍結は避けられない手続きですが、正しい知識を持って対応すれば大きな問題にはなりません。慌てず、必要な準備を整えた上で銀行に連絡し、制度を活用しながら円滑に進めていきましょう。





















